アニメ「波よ聞いてくれ」5話のシナリオ分析
アニメ「波よ聞いてくれ」の個人的なシナリオ分析です、今回は5話。
ミニッツライナー
ミニッツライナーの説明
ミニッツライナーとは、映像内で起こった事を一分間隔に区切り、それぞれ「誰が、何をした」という形で箇条書きにする方法です。全体の構造を見るのに適した方法です。
しかしこれにも欠点があって、アニメのように一話で完結しないものではフラグや意味のあるシーンが分からず見逃す事があります。
それを前提に進めて行きます。
スタート
- ラジオ局へ着いたミナレ、瑞穂の誕生日を祝う
- ミナレの企画案は無し
- OP
- 麻籐が架空実況で行くと提案
- 架空実況の説明
- スポンサーなしの説明
- スタジオに入るミナレ、麻籐「今日何かあった?」
- 麻籐の「お前を独占したい」に自信が復活するミナレ
- ミナレのラジオ開始、ミツオと女の修羅場にミナレのラジオが聞こえる
- ミナレのラジオ収録
- リスナーの反応、修羅場女も反応
- ラジオの声に動揺する修羅場女
- ミツオを刺さずに家を飛び出し車に轢かれる修羅場女
- ラジオが急展開、SFに
- ラジオのオチ、「お腹空いた」
- ラジオ収録終了、ありがとうございました
- SF設定の夢
- 亀の糞で目覚めるミナレ
- ラジオのネットでの反響
- 麻籐と久連木の裏話
- カレー屋の客がラジオの話を
- ミナレがラジオの道を決意
- ED
構成
全体
今回はラジオ収録の一本道、あえて分けるならラジオ収録前・収録本番、収録後辺りでしょうか。注目すべきなのはその中にミツオの修羅場が組み込まれている事です。
9~13のミツオの修羅場ですが、これだけの短い時間に女の感情が大きく揺れ動いています。ラジオの初収録というだけで十分面白いのに、どうやったらこんなエピソードが挟めるのかちょっと想像できないです。
時間配分
そういえばラジオ収録開始が9分辺りになっています。以前から8~9分で前編が終わる構成になっていましたが、ここでもそうなっていますね。たまたまなのか狙っているのかは分かりません。
動画で見ているのでCMが挟まれているのかは分かりません。
その他
ライブ感
アドリブラジオという設定になっていますが、このライブ感がアニメだと特に活きていると思います。ライブ感というと歌いながら戦う『シンフォギア』というアニメが浮かぶんですが、それと共通したものがあるのかもしれません。
収録であるのは分かっているけれど、即興性や臨場感がある。面白い仕掛けですね。
根拠のない自信
8分付近で麻籐の言葉に自信を取り戻すミナレですが、少し意外でした。
精神的に揺れている方が上手く行くパターンもあるんですが、ここでミナレは自信を取り戻す必要があった。これはミナレというキャラクターはそういう自信がないと上手くいかない人間であるという事でしょう。
このやり取りでミナレの気分が上がり、その後にラジオが始まる。やはり必要なシーンだったんでしょう。
未消化部分
前回の中原とマキエの関係もまだ解決していないし、マキエが何を企んでいるのかも良く分かっていません。企んでいないのかもしれませんが。
それでもミナレはラジオの初収録で吹っ切れてしまった、ストーリー的には何も解決していないのに。
ラジオ収録の部分だけで完結してる感はあります。これがストーリー上でどのように作用して行くのかが今後気になる部分です。
ここまでの流れ
シナリオ部分も気になりますが、それよりプロット(物語の筋)が興味深いです。ただの職業物でもなく恋愛物でもない。
新しい業界に入って活躍する物語なら早々に前の職場は出てこなくなるし、新しい職場で恋愛関係が構築されてもおかしくない。それが前の職場を随分と引きずってますね。
中原というキャラクターがミナレをラジオの世界から引きずり出したいと思っているようなので、今後ミナレの心境にも変化があるのかもしれない。ミナレがラジオの仕事に音を上げた時に中原の方に寄るのでは、とも考えられます。
もしくはこの物語を女性の自立の話と考えると、中原と結婚すればミナレはそれなりに安心した生活が送れるようになる。なので古いタイプの幸福像を担っているのが中原というキャラクターだとも考えられる。
しかしその反対側にある生き方、つまり女性として自立して仕事や夢に生きるというビジョンをミナレが持っていないのも面白いです。ミナレが中原を拒否している、もしくは拒否したくてもしきれない理由はその辺りにあるんでしょうか?
そう考えると少しシックリ来るかもしれない。
少し納得したところで5話の分析を終わります。