アニメ「波よ聞いてくれ」4話のシナリオ分析
アニメ「波よ聞いてくれ」のシナリオ分析、今回は4話です。早速始めましょう。
ミニッツライナー
ミニッツライナーの説明
ミニッツライナーとは映像内で起こった事を「誰が、何をした」という形で簡潔に書いていく方法です。一分を一行にして箇条書きにする事で全体の構造が見やすくなるという利点があります。
それでもアニメは1話で完結しないので、拾えない伏線や意味がないと思っていたシーンが実は重要だったりと見逃しも発生します。
それを踏まえて進めたいと思います。
スタート
- 瑞穂が出勤、寝ているミナレ。気付けば11時
- OP
- 朝食を食べるミナレ、亀にエサをやる
- ミナレ、ラジオへの不安
- 中原とバイト探しするミナレ、ラジオのスポンサーの話に
- 麻籐にラジオのスポンサー料金を電話で聞くミナレ
- 中原がラジオと手を切れとミナレに言う
- 中原がそのままミナレに告白
- 店長が事故に会ったと電話が来る
- 瑞穂にグチりながら一緒に夕食
- ミナレと中原の会話、人手が足りない、ミナレにやりたい事別にない
- ミナレに迫る中原、30で店を持ったらその時は……
- マキエが来店、兄のお詫びに店の手伝いを申し出る
- マキエに店の手伝いをして貰う
- 中原がマキエを家へ送る
- 甲本と話している瑞穂、甲本が瑞穂に迫るが逃げられる
- 店長の見舞いをする中原とミナレ
- 帰りたくないマキエと中原のその後、マキエが放送大学の話
- 仕事を増やしてというマキエ、順調
- 瑞穂と夕飯を食べるミナレ、瑞穂とマドカの関係に疑惑
- マキエ、調理アシスタントに
- マキエの創作料理、翌日にはメニュー入り、ブログ更新もマキエが
- カレー屋からの帰りに店へ戻るミナレ、店の前で中原とマキエが話している。「ウチくれば?」
- 麻籐から電話、ラジオ番組を開始するぞ
構成
全体
今回はエピソードで区切るとゴチャゴチャした感じになるので、恋愛要素を一つの文脈として考えてみたいと思います。
序盤にあるミナレのラジオ番組への不安、そして中原の告白から恋敵(?)のマキエが登場して中原がマキエを誘う(しかもミナレに言った台詞とほぼ同じ)。最後にはラジオ番組が開始するという知らせが届きます。
ラジオへの不安
恋愛のいざこざ
ラジオ開始
という形でラジオの存在を一度完全に忘れたところでラジオ開始の知らせが来る、という構成。
これをアニメの24分にまとめたのはお見事だと思います。終盤に流れたトレンディーな選曲には笑ってしまいましたが、これはシナリオとは関係ないですね。
今までは前後編だったので今回は今までと形が違っています。エピソード的には店長の交通事故やマキエの登場とインパクトの強いものが多いので情報量は相も変わらず多く感じます。
その他
やりたい事がない主人公
11分辺りで中原が言った台詞です。主人公のミナレには特にやりたい事がないというもの。
動機を持たない主人公は特に珍しくないでしょう。ほとんどの主人公はその場その場の判断で生きており、これは読者や視聴者の立場を反映したものでもあります。
しかし一応ですが、ミナレは1話のラストで元カレに○すと言い放っており、全くの動機がない人物ではない。恐らく目の前に元カレが現れればそれなりの対処をするとは思うんですが、それでも自分から探し回ったりその為に何かしようというほどのものではない。
それよりも寝床であったり収入源であったりと、場当たり的な動機で生きている。動機がなくても十分に魅力的な主人公になっているのは凄い点ですね。
カレー屋、辞める辞める詐欺
クビを言い渡され最後の給料も貰ったミナレですが、なぜかまだカレー屋に居ます。新しい世界に足を踏み入れた主人公というのは直ぐに元の世界から離れると思うんですが、随分と引きずっています。
ここも少し特徴的ですね、そして関係が薄れると思われた中原と接近して行く。
その為の方法が店長の事故という多少力技な方法が取られているもの面白いです。ここで作者は神の手を使ってるんですね、こうならなければいけないという展開がはやり中原の告白なんでしょうか。それともマキエの登場?
ラジオのスポンサーは案外早く見つかったるので、次のバイトが見つからないと言ってる間にラジオ番組開始でも問題はなかったはず。そう考えると中原の存在はかなり大きなものなのかもしれません。
前も書きましたが中原の存在理由が良く分かってないので、どうしてもこんな分析になってしまう。やはりラブコメなんだろうか……?
瑞穂の人間関係
今回、チラチラですが瑞穂とラジオ局の人たちとの人間関係が描写されました。甲本に迫られたり、まどかの話をして表情が強張ったりと。
ここからラジオ局内の人間関係が描かれていく導線になってます。さり気なく上手いですね、そして何やらありそうですね。
主人公を追い込むスタイル
基本的にこういう形で話が出来ているんだと思います。1話の冒頭から主人公はなぜか追い込まれていました。それは設定だったんですが、ラジオの最後に主人公が呟く「私、何やってんだろ」というのもそうです。
なぜか追い込まれた状況が作られる為に金がなかったり住み家がなかったり変な人間が寄って来たり麻籐が無茶な要求をして来るんだと思います。
そうやって見れば少しは作品の構造が分かりやすくなるかも……?
4話ではまだこのぐらいしか分析できません。やはり難しい……。