シナリオ分析のブログ

完全に趣味のブログ。見返さずに投稿しているので誤字や意味の分からない箇所があると思います。

アニメ「波よ聞いてくれ」1話のシナリオ分析

  アニメ「波よ聞いてくれ」のシナリオを一話ずつ分析して行きたいと思います。シナリオに特化した形なので画像は一切ありません、ご了承下さい。

 

 

 

ミニッツライナー

ミニッツライナーとは?

 まずミニッツライナーという手法について説明します。これは映像内で起こった事を一分ごとに区切り、その一分で起こった事を箇条書きにする事で全体の構造を分析しやすくする方法です。

 その際には「誰が、何をした」と形で分かりやすくシンプルな形にまとめます。そうした方が後で見返した際に分かりやすいからです。

 

 しかし一つ問題があって、この手法は映画や一話完結の作品を分析するのに向いています。全体が見渡せるのでその中の部分部分が意味する事が分かりやすくなるからです。

 アニメというのは一話完結ではありません。なので全てが説明されて終わる訳ではないので、先への伏線も含めて一度見ただけでは分からない部分があります。

  それを考慮に入れつつ始めたいと思います。

 

スタート

0.鼓田ミナレのラジオタイトルコール、なぜか山でヒグマに睨まれている

1.OP

2.ラジオの相談文(振られた)を読むミナレ

3.相談文(彼女に虫が寄って来る)への回答(琴欧洲)、怒るミナレ

4.(場面のみ変化)ラジオ収録中のミナレ

5.(場面のみ変化)ヒグマが動き出し追われるミナレ、相談文を読む(不倫)

6.逃げる途中で転ぶミナレ、相談文を読む。目付きが変わる

7.ヒグマと対峙し、攻撃をかわして蹴りを入れるミナレ

8.ヒグマに投げられるミナレ、相談文(全裸散歩がバレた)を読む

9.ヒグマの首を絞めるミナレ、ヒグマを落す。相談文への回答(人は鏡だから)

10.ラジオ終了、回想シーンへ。バーで麻籐にからむミナレ

11.ミナレと麻籐の出身地話

12.ベッドで目覚めるミナレ、記憶なし、指に口紅? ボーっとした途端に泣き出す

13.映画『ゴースト』で泣くミナレ

14.ミナレ、カレー屋へ。店長に怒られブログ更新、従業員の中原と話す

15.客に店の話をするミナレ

16.店長に怒られる、店内ラジオからミナレの声

17.血相を変えて店を飛び出すミナレ

18.ラジオを聴きながら車を走らせるミナレ、ラジオから元カレの話

19.ラジオ局に到着、受付から収録室へ行くミナレ。麻籐にラジオを止めるなら話せと言われる

20.麻籐のラジオ機材の説明

21.話し出すミナレ、カテゴライズへの弁明

22.ミナレ「ミツオは殺す」

 

要約

 1話を簡単に説明すると、良く分からない設定のラジオをやっているミナレ。という前半。

 後半は酔っ払った際に録画された内容をラジオに流されたミナレが、ラジオを止めに行ったら代わりに喋らされた。

 こんな内容です。

 

構成

全体

  盛り上がりは二箇所、ヒグマとの戦いと最後のラジオ収録。最初の盛り上がりは6分~10分、後半の盛り上がりは17分~22分。

 主人公の設定説明はラジオ収録が終わってからの7分と非常にコンパクトにまとまっています。

 

前半の演出

 最初にクライマックスシーンや謎を提示するのは一つのパターンです。恐らく原作ではバーでミナレが麻籐にからむシーンから始まると思うんですが、アニメでは時系列を変えています。

 分からないシーンから初めて、そこへ至る経緯を描いて行くという一つの手法です。

 

 それでもこのアニメが特徴的なのは、ラジオ収録を途中で終えていない事です。見せ場を取っておくのではなく最後までやってしまう。

 まぁここから長い回想に入るので当たり前なのかもしれませんが、謎のラジオ収録ながら十分な見応えがあります。

 

主人公の説明

 間に挟まれるように主人公であるミナレの説明がされます。

  • 恋人に振られた
  • 店長との関係
  • 同じ従業員である中原との関係
  • 情緒のない人間? (『ゴースト』で泣く)

 

 本来ならこれらの説明によって主人公に感情移入するように持って行くのが基本です。しかしこの作品では常に本音(ぶっちゃけ)で語る主人公の性格や、主人公の切羽詰った状況によりいつの間にか感情移入しているという凄い構造になってます。

 感情移入というより観客にされているという気もしますが。

 

特長

要素

 この作品には様々な要素が含まれます。まずゴシップネタ。

 ラジオの相談文が告白して振られた話や不倫、更に全裸で散歩していた事が家族にバレた、籐。バラエティーに富んでいます。更に主人公も元カレに50万持って行かれたという週刊誌のネタのような話です。

 それでありながら、主人公は相談文に対して真摯に応えます。誠実であれ、人は鏡だから、カテゴライズしたいのはその方が楽だから、等。

 

 言わば聖と俗のような対立する要素があり、それに恋愛や中年男の野心(ロマン?)、お金の問題、復讐劇、ラジオという世界の裏側等。これは登場人物によって増えて行くでしょう。

 

”情”報量

 主人公のモノローグや台詞がとにかく多いです。ほぼ喋っている。私小説的と考えていいのかもしれませんが、私小説の主人公とはタイプが全く違っている。

 この激しい感情の流れをザッと書き出します。

 

 ヒグマにおびえ相談文に切れてヒグマから逃げ、相談文に本気になってヒグマと戦い、ヒグマに投げられ叫んで戦って燃え尽きる。酔ってからんで目が覚めて泣いて、ホラー映画で泣いて立ち直って店長に怒られ怒る。客にぶっちゃけて店長にまた怒られ、愚痴ってラジオの声に青ざめラジオ局に殴りこんでいきなりラジオで喋れと言われ、意味不明のまま弁解して最後に怒る。

 

 情緒不安定かと思うぐらい主人公の感情が変化します。それが落ち着きのありそうな女性によって繰り広げられているのもこの作品の魅力なのかもしれません。

 

その他

 他にもラジオが流れている際に未登場のキャラクターが何度か映りました。この演出がアニメオリジナルなのかは分かりません。

 

 それと、ボーっとした時に急に涙が出る。これは経験した人には良く分かる現象ですね。ニコ動のコメントでも共感の声が結構ありました。

 これに気付いて作品に盛り込めるのは凄いですね。

 

 

最後に

 とりあえずここからこの作品のシナリオを一話ずつ分析して行きたいと思います。需要は恐らくほぼ無いと思いますが、個人的な修行のようなものです。

 どこまで続くか分かりませんが、やれるだけやってみます。