アニメ「ブラッドラッド」10話のシナリオ分析
アニメ『ブラッドラッド』のシナリオ分析、今回は10話。最終話です。
少し検索してみたところ、これは別に打ち切りという訳ではなく最初から決まっていたようです。
ミニッツライナー
まずはこの方法でシナリオ全体の構成を見ます。
ミニッツライナーとは?
シナリオ分析法の一つ。映像内で起こった事を文字にして、一分をおよそ一行で書いて行きます。その際には後で見直した時に分かりやすいように「誰が、何をした」という形にします。
しかし一話ずつ観ながら書いているので、重要な部分やフラグを見逃す可能性があります。ご了承ください。
スタート
- 三つ首の竜(ヘッズ)がスタズの前に現れる
- OP
- スタズのナワバリに南の魔族たちがやって来る
- 冬美をここ(亜空間)に住ませるつもりだと話すヘッズ
- 回想 ネインを中心に口論するヘッズと柳(冬美の父)
- 冬美とベルを一緒に生活させる事は出来ないと柳
- 父親が殺される瞬間を鮮明に憶えているとゴイルに話すブラッズ
- 冬美に対する本当の気持ちをスタズに問うヘッズ
- 冬美がスタズをどう思っているか聞くベル
- 生き返ってみないと分からない、と答えるスタズ・冬美
- 四畳半のヘッズの部屋へ移動、誓いを破ると死ぬ団子を食えとヘッズ
- 団子を食うスタズ、実は催眠団子だったとヘッズ
- スタズと冬美が異空間の入り口に居る
- スタズのナワバリで騒ぐ南の魔族たち、行くぞ、とデク
- ゴイルがブラッズを凍らせる、リズがやって来て逃げるブラッズ
- 気付いたらここに居たと冬美
- 冬美の親は柳だ、と言うヘッズ
- 妙に優しいフリをするスタズ。南の魔族を追い返すデクたち
- ウルフが誰かを倒す、狼男の力に頼らないと言う。そこに殿堂魔界からのお便りが来る
- 自分は悪役だが冬美が本当に生き返りたいと望むならヒーローになれる、とスタズ
- 生き返りたい、と冬美
- 喜ぶスタズ
- 扉に向かうスタズと冬美
- ED
- 研究室で父親を復活させているブラッズ
構成
全体
娘(冬美)をどうしたいかとスタズに問うヘッズ、1~12分。
主要人物それぞれの決意、13~19分。
スタズと冬美の決意、20~23分。
引き、父親復活、25分。
ほぼ初登場だったヘッズがほとんど持って行った最終回でした。まるで結婚前のご両親への挨拶みたいな回だった……。
後半は主要人物がそれぞれ決心という形で動機の再確認を行っています、物語は続く気マンマンといったところでしょうか。残念ながら二期の情報は今も全くありませんが。
エピソード
- 冬美を生き返らせた後にどうしたい? とスタズに問うヘッズ、分からないと返って来る。ただの催眠団子を誓いを破れば死ぬ団子と言ってスタズに食わせる
- 自分は悪役だが誰かが本当に願う事を手助けできるならヒーローになれる、と話すスタズ。冬美の願いを聞いて喜ぶ
- スタズのナワバリに南の魔族たちがやって来る。出向くデクたち、自分たちの力だけで撃退する
- 狼男の力に頼らないと決めたウルフ、殿堂魔界からの便りが届く
- ゴイルから逃げ切るブラッズ、研究室で自分の父親を生き返らせている
あらかた拾えたでしょうか? 最後のエピソードが始まったところで終わりという何とも言えない最終回ですが、それでもデクやウルフにも何らかの決着をつけているのはさすがと言えます。
気になるのはベルの片想いですが、ベルに関しては最終話では何もなかったですね。
その他
ブラックカーテンを作ったのは
序盤から謎であった冬美の部屋にブラックカーテンを作ったのは誰か、という疑問ですが、これは冬美だったって事でいいんでしょうか? 冬美にもハイドラの血が混ざっている、とか理由付けは出来そうですがちょっとこじつけ感もあるので断言は出来ません。
親目線
最終回に来てほとんど全てを持って行ったヘッズですが、面白い事をやったなと思います。視聴者や読者にとってエロで釣るという目的でしか見られていなかった(個人的感想)冬美というキャラクターですが、それを逆手に取るような文脈です。
ちゃんと愛せるのか? という問いかけは完全に親の目線でしょう。作者さんの熱意、というか決心めいたものを感じます。
反省
この作品は1話を視聴した後、これを分析するのは厳しくないか? と感じていました。いかにもな少年誌のノリについていけなかったというのが本音だったので。
それが観て行くと色々と学べる事があり最終的には楽しく視聴できました。1話切りは良くないね……、まぁ時間の都合もあるからするけど。
逆にどんな作品でも分析しようと思って見れば何かしらの発見はあるのでは? と思ってしまいますが、本当にダメな作品もあるのでそうとも言えないかもしれません。
人間界……?
序盤で出て来た冬美の生きる人間界はその後、全く登場しなくなりました。てっきり行き来するものだと思ってたんですが、見当違いでしたね。1話のラストの旅立ち感は何だったのか……。
構成の点でもこの作品は途中で路線変更がなされています。正確には4話以降でしょうか、新キャラが増えて一話完結ではなくなっています。
その辺りの事情は分かりかねますが、個人的には小さくまとまった作品より込み入ったものの方が好きなので好感度が上がったのは間違いないです。
ハッキリした動機
この作品の特徴を一つ挙げると、キャラクターの動機がハッキリしている事でしょうか。「○○したい」という動機をキャラクターたちが割りとしっかり持っている事です。
割と消極的な動機を持ったキャラクター(認められたい、平穏でいたい等)が多いと思うんですが、その中でもこの作品のキャラクターはハッキリした目的を持って動いている。
目的があるとそれを叶える必要があったり落しどころが要るので大変なんですが、そういった点も含めて評価は上がります。
という辺りで10話の分析を終わります。まだまだ勉強不足なので分析は続けますが、そろそろ自分でも何か書きながらにしたいと思っています。勉強の成果を出しながら続けようかと。
しかしその方法でちょっと迷ってるところです。