アニメ「ハマトラ」12話のシナリオ分析
アニメ『ハマトラ』のシナリオ分析、今回は12話、最終話です。
しかし残念ながら全てが完結するという訳ではなく、二期へ続くという終わり方になっています。二期は分析するつもりがないので中途半端になりますが、ご了承ください。
ミニッツライナー
まずはこの方法でシナリオ全体の構成を見ます。
ミニッツライナーとは?
シナリオ分析法の一つ。映像内で起こった事を文字にして、一分をおよそ一行で書いて行きます。その際には後で見直した時に分かりやすいように「誰が、何をした」という形にします。
しかし一話ずつ観ながら書いているので、重要な部分やフラグを見逃す可能性があります。前述の通り最終話ですが全てが解決した訳ではないので、謎を残したままのラストとなっています。
スタート
- 怒るはじめ、黒いコスモスの男を殴り倒して気絶する
- モラルが自分に注射器を打ち込む
- OP
- 誰でもミニマムホルダーになれます、というCM。人が殺到する
- 他人事だと思っている人間を無差別に攻撃するロボット
- ハニーが能力で人形の場所を特定、バースデイが人形を壊す。1話の巨漢男が邪魔に入る、レシオと対決
- ハニーとスリーが黒いコスモス連中に囲まれる、スリーが能力で蹴散らす
- ナイスとムラサキがモラルの居る船へ到着、ムラサキが「らしくない事をするな」とナイスに助言
- ナイスとモラルが対面、モラルが禁断のミニマムを見せると言う CM
- モラルがナイスをボコボコにする、ナイスがモラルの能力を分析する
- 正義を振りかざす民衆に責任を負荷しようと言うモラル
- 超音波のミニマムホルダーは電波でも人の鼓膜を破壊できると説明するモラル
- ネットで正義を振りかざした人間に電話がかかって鼓膜が破壊される計画を話すモラル
- 鼓膜を壊されて弱者である自覚をさせようと言うモラル
- ナイスに平等な挫折と敗北を与えたいと話すモラル
- 怒るナイス、モラルに倒される。敵討とからしくない、と言うムラサキ
- ナイスたちの様子がテレビで流される。指を鳴らしリズムを取るナイス
- セオや関係者・過去の依頼者たちがナイスにメールを送る
- ナイスが携帯を海に投げ捨てる。何者かがボートで船に向かう
- 人形を壊すバースデイ、子供たちを抱きしめるスリー
- 連続で能力を使うナイス、モラルを殴り飛ばす
- 血を吐くモラル、アートが現れモラルを銃で撃つ
- ナイスの頭に銃を突きつけるアート、銃声
- ED
構成
全体
前回の続き、はじめが怒る、1分。
モラルの計画とそれを止めに動くバースデイ・ハニーたち、2~7分。
ナイスvsモラル、モラル優勢、8~15分。
我に返るナイス、決着、16~21分。
引き、アート登場と、22~23分。
全体的にモラルの計画とそれを止める仲間たちの活躍、そしてナイスvsモラルという戦いの二つが中心でした。仲間たちの活躍が先行して、ナイスとモラルの戦いに決着が付く前(20分)に決着しています。
そしてその影響を受けて(?)モラルを倒すという構成になっています。
エピソード
- モラルが自らに注射をして力を手に入れる。やってきたナイスをボコボコにするが、落ち着きを取り戻したナイスに倒される。二つの能力を手にした事で体に負担が掛かり血を吐くモラル、突然現れたアートに銃で撃たれる
- 弱さを自覚していない民衆を無差別に攻撃するロボットがモラルとその助手によって街に放たれる。ハニーがその場所を特定してバースデイたちと共に破壊する
- ネットで正義を振りかざした人間に責任を追わせる為に、超音波の能力者を使って鼓膜を破壊させる計画を実行に移していたモラル。ナイスによって阻止される
- はじめが怒って黒いコスモスの男を殴る、そして気絶
- 子供たちを取り戻すスリー
- 生きていたアート、モラルを銃で撃ち更にナイスも撃つ
最後に更に二つの計画を実行に移したモラルですが、ナイスたちによって阻止されます。モラルのターゲットはナイスだけではなく全ての弱者へと向けられている、最後の最後に色々と仕掛けて来ました。
細かな点で突っ込むと、鼓膜を破壊する計画ですが発信元が分からないのでほとんどの人間が出ないのでは? と思いましたがハッカーが更に何か手の込んだ事をしているかもしれませんね。
スリーが子供たちを取り戻したようですが、その経緯が一切ないのも時間の都合上仕方がないのかもしれません。チユウも意識を取り戻したようなのであれでOKなんでしょう。
一番の問題は最終話なのに引きが用意してあったという点ですが、二期がある前提で作られていたようなのでもう諦めます。二期の1話を観てシナリオの分析はしないという流れになると思います。
その他
テーマは?
今まで能力バトル物をいくつか観て来ましたが、扱っているテーマが全然違っているのには毎回驚かされます。
『東京ESP』では家族や核家族が中心的なテーマだったと考えています。『絶園のテンペスト』は恋愛と運命という辺りでしょうか。『グレイプニル』はまだ言語化できていませんが、もっと異質なものでしょう。
そして今回扱った『ハマトラ』ですが、モラルによる平等な世界と力の分配、そしてナイスという社会的な正義ではない個人的な正義。この辺りでしょうか?
『絶園のテンペスト』でも個人的な動機で動くキャラは居ましたが、それに対する別の正義は無責任な他者ではなく世界の安定や被害者を一人でも減らす為の方法だったと思います。
能力バトルという特殊な物を扱っていますが、それが中心的なテーマではないというのが現在の流れなのかもしれません。この辺りはこれからも分析していきたいと思います。
女性陣の扱い
結局、最後まで良く分からなかったはじめというキャラクターですが、11話のラストの怒りは何だったんでしょう。あれきり気絶して終わってしまいました。
コネコというキャラの説明も一切ありませんでしたね。色々な事件を扱ったのだからその中で知り合いの依頼者を出したりと過去に触れらるのは可能だったと思うんですが、マスコット的な扱いで終わっています。これははじめだけではなくマスターもそうなんですが。
何かそういう部分のもったいなさは感じます。恋愛要素が完全に削除されているのはターゲット層への配慮でしょうか、まぁ最近そういう傾向の作品が多いのでそれほど気にはなりませんが。
ともかく、個人的にはサスペンス物の分析方法が分かったのは一つの収穫でした。とりあえず作品理解の為にも勉強を続けようと思います。