アニメ「劇場版Strait Jacket」のシナリオ分析 Chapter.3
アニメ「劇場版Strait Jacket」のシナリオ分析、三回目で最後のパートです。
ミニッツライナー
ではまず、この方法で全体の構成を見ます。方法の説明は以下。
ミニッツライナーとは?
シナリオ分析方法の一つ。映像内で起こった事を文字にして、一分をおよそ一行で書いて行きます。その際には後で見直した時に分かりやすいよう「誰が、何をした」という形にします。
しかし、分かりやすくとは言っても未視聴の方が読んで分かるほどではないので、その辺りはご了承ください。
スタート
- アイザックの回想 少年時代、魔族に襲われるアイザック、それを救ってくれたストレイト・ジャケットの男
- レイの回想 前回のラスト、師匠は死んだと語るレイ
- レイを仇だと言った事で妹に問われるアイザック
- 復讐の為にストレイト・ジャケットになったのか? と妹に言われるアイザック
- レイが外出する、置いて行かれるカペ
- 上司に相談に来たが忙しそうなのでやめるアイザック、上司の電話の内容を聞く
- フィリシスがレイの家を訪ねる、カペが出る。レイに必要なのは裁く者でも罰する者でもないと話すフェリシス
- レイチェルが働いている
- 路地に酒を置くレイ(恩人の死んだ場所) 事件発生のラジオ放送
- 暴れる魔族、ストレイト・ジャケットをたきつけるオッドマン。アイザックが魔族を倒す
- 周囲が騒がしいので様子を見てくると言うレイチェル
- 次の事故発生の知らせ(場所)を聞くアイザック。事故を起こしている連中(オッドマン)の噂を聞くシモンズ
- 事故現場で妹の遺体と対面するアイザック、上司の電話の内容を思い出す
- 上司に銃を突きつけて問うアイザック、アイザックをさとす上司
- 上司を撃つアイザック、電話が鳴る、オッドマンからだと分かる。出向いてオッドマンを撃ち殺す
- 事故現場のレイ・カペ、モールドを装着するレイ
- 魔族の死体が転がっている、アイザックも居る
- アイザックの過去話、妹が死んだと告げる
- レイとアイザックの戦い
- 咎人に必要なのは何か? と問うカペ
- 戦いの途中、モールドが壊れ魔族と化すアイザック、「殺してくれ」と叫ぶ
- 魔法の詠唱、アイザックを殺すレイ
- 頭だけになったアイザックと話すレイ、俺の行けなかったところまで見て来いとアイザック
- 出発しようとするレイの前にシモンズが現れる、協力要請。一緒に向かうレイとカペ
- ED
構成
全体
レイが仇だと分かるが生活を続けるアイザック、1~10分。
妹の死を知って暴走するアイザック、レイと戦って破れる、11~23分。
エピローグ、24分。
序破急にしても随分偏った時間配分に見えます。情報も中盤で妹が死ぬ辺りで犯人の説明があったり事件が二つ重なっていたりと、少々詰め込んだ感がありました。しかしそれほど問題なく視聴できたでしょうか。
チャプター3はエンディングがあるので24分、チャプター2が27分あった事を考えると短いですが、チャプター1も24分ほどです。
エピソード
- レイがアイザックにとっての仇だと分かる
- 妹の遺体と対面するアイザック、上司が事故の手引きをしていると知り上司を殺害。つながりのあるオッドマンを一掃。生きる意味をなくしてレイと戦い敗北する
- レイが恩人の死んだ場所に酒をたむける
- フェリシスに「レイに必要なのは裁く者でも罰する者でもない」と言われるカペ、じゃあ何が必要なのか? と問う
今回は完全に主人公はアイザックでした、アイザックを中心に物語が作られています。
しかしレイが仇だと知ったアイザックですが、直ぐに復讐に向かう訳ではなくそのまま生活を続けています。レイと戦う理由は妹の死とその先の生きる目的を失ったからだと作中でも語られています。
少し変わった動機ですね、妹の復讐は既に済んでいるのにそれでも戦う必要があった。帰る場所がない人間が救いを求めたようにも解釈できます。
主人公の恩人やその死んだ理由が明らかになると思っていたんですが、ほとんど触れませんでしたね。完全に勘違いでした、失礼しました。
カペの問いに関しても回答は無し、アニメ化もまだ続ける予定だったんでしょうか、それとも原作を読んでくれという販促のアニメだったんでしょうか。そこまでは分かりません。
その他
三話完結で未完
チャプター1で世界観や主人公の特異な立ち位置について説明されています。これはアニメの1話的で綺麗にまとまっていて好きなんですが、劇場用として作られたものなのか? というと疑問があります。
チャプター3まで観て思うのは、話がまだ何も終わっていないという事です。原作もまだまだあるでしょうし当然と言えば当然ですが。
それでも劇場版として観た後にもう少し何かが終わったという感覚が欲しかった。余りに序章すぎるという感じでしょうか。それだけが残念です。
各チャプターにつながりはあるんですが、かなり独立していると言っても言いすぎではないでしょう。
主役変更
やはりチャプター3で主人公的な立ち位置がアイザックに変わってしまったのは大きいと思います。1と2ではシモンズが中心になってレイたちの関係や過去を探っていたんですが、3ではそれがなかった。シモンズがレイの恩人についてもっと語ったり回想を入れれば話は違ったかもしれません。
総評
一話ずつとして観れば面白いです。しかし劇場版として見せられると違和感がある、そんなところでしょうか。
作品のテーマ自体は面白いし、主人公のキャラクターはそこまでハッキリしていませんが女の子との関係も興味深いです。
しかし、劇場アニメのシナリオ分析を練習する為に扱った作品として正しかったのかは疑問があります。まぁ吟味して選ばなかったこちらに問題がありますが。
一旦はこんなところです。