アニメ「魔王学院の不適合者」1話のシナリオ分析
2020年夏の新規アニメを少し取り上げたくて視聴しました。残念ながら継続するつもりはないのですが、勉強がてら分析してみたいと思います。
内容に関しては、とにかく主人公が強い、そして異世界の無双主人公物の中では残酷な描写が多い事が特長だと感じました。
ミニッツライナー
とりあえずこの方法で全体の構成を見ます、詳しいやり方は以下。
ミニッツライナーとは?
シナリオ分析法の一つ、映像内で起こった事を文字にして、一分をおよそ一行で書いていきます。その際に「誰が、何をした」という形にして後で見た時に分かりやすくします。
しかし作品全体を観ている訳ではないので、重要な部分やフラグを見逃す可能性があります。ご了承ください。
しかも今回は書き方が雑になってます、すいません。
スタート
- 設定説明、200年前? に戦争があった・魔王の生き返り世代が生まれる頃
- ミーシャが手紙を落す、それを拾って渡すアノス
- 校門でからまれる、アノスがそいつを怯えさせる
- 実技試験、からんで来た男と戦闘
- 煽られる、煽り返す
- アノスが心臓の鼓動で倒す
- ギブアップさせてみろ、と絡み男。殺す→再生
- 殺す→再生のリピート。ギブアップする、兄らしき男が怒る
- CM 能力測定、測定不能
- 帰りの校門でミーシャが待ってる、家へ誘う
- ワープで家へ、ワープは失われた魔法
- アノスの家へ、アノスは生後一ヶ月と母が言う
- 家族と食事、アノスの優しいところが好きとミーシャ
- 一緒に帰る、ミーシャの家庭の事情に少し触れる
- ミーシャが主人公の頭をなでる
- 絡み男の兄が登場、弟を殺す
- 魔法を使う兄とその従者、アノスによって魔方陣が暴走
- 再び魔法を使う兄、効かない
- 主人公が弟をゾンビにして復活させる
- 家族のキズナを信じろ、とアノス
- 死ぬ兄弟、アノスが生き返らせる
- アノスが自分を始祖の魔王だと名乗る
- ED
- 学校でアノスが注目されている、不適合者の印が制服に
構成
全体
世界観説明、1分。
ミーシャとの出会い、2分。
絡み男と二度戦い、屈服させる、3~8分。
ミーシャを誘い家で食事、9~15分。
絡み男の兄と対決、16~21分。
タイトル回収、22~24分。
戦闘回数が多いですね、序盤で絡まれた分も入れると一話内で三回。余りエロ要素は入れていないようなのでこれからもバトル中心の話になりそうです。
戦闘を挟んで中盤に家族との団欒があり、それとなく設定説明もされています。
エピソード
- ミーシャの落した手紙を拾う、仲良くなって家へ誘う。両親に嫁と勘違いされる、ミーシャは何か家庭の事情がありそう
- 絡み男を軽くあしらう、実技試験で完全に倒す。兄が復讐に来るがそれも倒す
- アノスが能力測定で魔石? を破壊、魔力が測定できずに不適合者になる
主人公が魔王の生まれ変わりである、という説明が少ないですね。これはもうタイトルで分かるから書く必要がないという事でしょうか。最初から理由もなく強すぎる主人公に違和感がありましたが、まぁ「なろう系」なら良くある事でしょうか。
伏線めいたエピソードがミーシャの家庭の事情ぐらいです、それほど広がりのない1話でした。しかしコンセプトは分かりやすいのでいいんじゃないでしょうか。
見せ場
残酷さ、やはりこれでしょうか。主人公が無双するアニメは今までにいくつか視聴しましたが、残酷な無双主人公というのは余りなかった気がします。
結局、魔法で生き返らせるんですが、その辺りのファンタジーさも含めて面白いポイントだと思います。生き返らせるのが逆に残酷さを増すというのが不思議ですね。
その他
ここからは割りとディスる内容も含まれるので、作品愛のある方はブラウザバックをお願いします。
警告はしたからな!
マウンティング合戦
どちらが強いか、というのをずっと言ってる気がします。俺は強い、俺は負けない、屈服させるならさせてみろ、等。正直、それほど興味がない。どちらが強かろうがサル山のボスを決める程度の事です(同様の理由でバキにも余り関心がありません)。
そんな事をずっと見せられている気がします。これは学校生活で不良にマウントを取られた古傷を癒す為のコンテンツでしょうか?
それが悪いと言うつもりはありませんが、少なくとも中高生向けコンテンツで大人が観るものじゃありませんね。
魔法
しかし戦闘のギミック(魔法)にこだわりを感じます。鼓動で倒すという良く分からない描写が出て来て困りましたが、ニコ動のコメントで多少フォローされてました(それでも良く分かりませんでしたが)。
どうやら原作ではもう少し細かく説明されているようですが、アニメ化の際にはその部分がカットされたようです。
後半のバトルではゾンビ化という魔法が登場、少し毛色が違っていますね。こういった魔法のバリエーションで勝負する作品なのかもしれません、後は作者さんの想像力次第でしょうか。
ヤンキー漫画との相違点
いきなり校門で絡んで来る男が居たりと、昔のツッパリ・ヤンキー漫画を思い出してしまいました。
ケンカばかりしているのが魔法を使ったバトルに変わった、というところでしょうか。しかしそれ以外にも違った点はあります。
ヤンキー漫画といえば友情というのが一つのポイントでした。それは共に修羅場をくぐり抜ける仲間であったり、ケンカしても気が合う友人であったりと。
今作ではそういったキャラクターが現れる予感がしません。ヒロインが増えてハーレム化する可能性はありますが、男同士の友情やコミュニティーというのは除外されているようです。
これは今作に限った話ではなく、「なろう系」の多くの作品で対等な関係を持った仲間が登場しなくなっている。例外はあると思いますが、それが過半数なら人間関係に変化が起こっていると考えていいでしょう。
論理がなくなった長門
ヒロインのミーシャですが、既視感のあるキャラクターですね。元になっているのはハルヒの長門か、その前までさかのぼるとエヴァの綾波辺りでしょうか。
しかし長門が宇宙人で感情よりも論理的な人間であったこと、そして綾波がクローンで人間性の薄い存在であったことを考えると、この作品のミーシャは非常に没個性に感じてしまいます。
単に口数の少ない子、感情の起伏も少なく、どこか男にとって都合のいい存在。そういう意味では本当にクローンですね、少しばかり寂しさを感じてしまいますが、前述した二作がそれほど影響力を持っていると考えるべきでしょうか。
嫌味vs嫌味
主人公の言動が、すかしているだけで基本的に絡んで来た男がヤンキーと大差がない。なのでどちらにも感情移入できませんでした、
こういう主人公が勝つと分かっている作品で、わざとそういった言動を繰り返すというのはどういう気分なんでしょう。やはりこの作品は自分には向いていない、つくづくそう感じて感想を〆たいと思います。
色々と失礼しました。